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2007年05月26日

すばらしき思い出

私がまだサラりーマンだった頃、東京の郊外へ走る電車に乗っていた時の事です。

静かな車内で席はほぼ埋まっていました。カーブにさしかかり、電車は大きく揺れ、座席の下に置き去り
にされていた一本の空き缶が、カラカラ音をたてて転がり始めた。

一瞬、乗客の多くが、その空き缶に目をやりました。しかし、カラカラという音が止むと誰もがその空き缶から目をそらしました。私は次の駅で降りるので、その時その缶を持って降りようと考えていました。

その時、私の前の席にいた、若い母親が、横に座っていた4〜5歳位の女の子の耳もとで何かを囁き、
手提げバックから取り出したビニールの小さな袋を、そっと手渡した。

女の子は、ビニールの袋を持って、電車の揺れによろよろしながらも、とことこと駆けて行き、さっき転がっ
て手すりに当たったまま止まっている空き缶を拾いに行きました。

そして、空き缶を拾おうとして、かがんだ時、電車の揺れに耐え切れずに、頭を コツン!とドアにぶつけました。女の子は、母親の方を向き ニコッ!と笑いました。母親も笑いました。

女の子は、空き缶を袋に入れ、片手を前に突き出すようにして、よろよろと母親の所へ戻ってきました。
母親は、女の子の体を両手で抱きしめて、そして、小さな声で言いました。

「ありがとう。頭ぶつけて痛かったでしょう?」 女の子は、ハンカチで手をふいてくれる母親に、もい一度
笑って見せて、そして、小さな声で答えました。 「うん、ちょっとだけ」。

母と子の温かい愛のコミュニケーション。そして、母親から女の子への、すばらしい心からの贈り物。

私は、今も時々、この母と子を思い出しては心をを温めています。   合掌


投稿者 ZEN754 : 2007年05月26日 11:48

コメント

はじめまして。 ZEN(和尚)でございます。
お読みいただき本当に有難うございます。

まる様 のおっしゃるとうりでございます。
毎日のように記者会見の場で大の大人たちが横一列に並び、頭を下げている現状を鑑みますと、子供たちに「教育」だの「躾」だのと
意見する以前に、まず私たち大人が人間として生きていく術を、しっかりと子供たち伝え示していくことが必要かと感じております。

すばらしいコメント、本当に有難うございました。今後とも宜しくお願い致します。合掌


投稿者 ZEN(和尚) : 2007年06月26日 15:42

 ZEN 様

 ブログ拝見して、私もとても温かい気持ちに
なりました。その情景が想像できて、母子の
絆がしっかりと築かれている事を感じることが
できました。陰惨な事件が報じられ、親子の
関わり方や、家族とはなんなのか・・と考え
させられます。心の時代と言われながら,私たち大人は、物質的豊かさや学歴偏重の中で
本当に大切な心の部分をおざなりにしてきた
のではないでしょうか。また、そんなお話が
あれば、聞かせてください。 

投稿者 まる : 2007年06月05日 13:06

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