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2007年01月30日

空間定位について(2)

 空間定位とは、自己の座標軸を基準に、対象の位置を特定することです。そのためには、身体軸が確立されていなければなりません。この空間定位によって、自己と対象との関係が認識でき、空間認知ができるのです。

 さて、車の運転で言えば、たとえば、走行中に前方から対向車がきた。対向車と自分の間には左側に電柱がある、という問題はどうでしょうか。

 この場合、ドライバーは車幅と道路幅、電柱の位置、すれ違う余裕があるかどうか、自分のスピードと対向車のスピードを瞬時に計算します。ランドマークと比較して、視野に写る対象の大きさで距離と位置を、角度変化で方向を分析し、単位時間あたりの加速度を割り出し、一定時間後の位置を予想し、フィードバックしながら、アクセルとブレーキを使い、訂正しつつ、電柱ですれ違わないようにします。しかし、もし、対向車が速度を変化させ、電柱ですれ違うことが予想されれば、道路幅に余裕がなければ、新しい状況の変化に合わせて、自分が減速し、次のハンドル操作を想定しなければなりません。

 一見、簡単にみえますが、車の運転は非常に複雑な統合された一連の行動です。車を意のままに操るアクロバットは、車を一センチメートル単位で制御する技術である、ということができます。

 このように、車の運転はトレーニングによって獲得することができる学習行動であり、感覚がより鋭敏になり、視能力が拡大、伸長します。運転を習う前と、運転を始めた後では、いままで見えなかったものがより見えるようになった、と言えるのではないでしょうか。

投稿者 恵比寿 : 2007年01月30日 00:00

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